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日本語教育 新制度で質を向上させたい
日本で暮らす外国人の言葉の壁を取り払う上で日本語教育の重要性は増している。学校と教師の質の向上を図るための新制度を定着させたい。
日本に住む外国人は、昨年末時点で約307万人となり、初めて300万人を超えた。今後も増加傾向が続く見通しだ。地域の働き手となることも期待される。
外国人が地域や職場で孤立することなく暮らすには、一定の日本語能力が不可欠だ。しかし、教育体制や質は十分とは言えない。
日本語学校や、大学、自治体による日本語教室などは2021年時点で全国に約2500か所あり、生徒数は約12万人に及ぶ。
留学生が学ぶ日本語学校は、かねて教育水準のばらつきが指摘されてきた。一部には、授業料目当てで定員を大きく上回る学生を受け入れたり、不法就労を黙認したりする悪質な学校もある。
これでは、学生が日本語能力を身につけることが困難で、学習意欲を失いかねない。 真摯しんし に日本語教育に取り組んでいる学校や教師の信頼にも関わる問題だ。
通常国会で成立した日本語教育機関認定法は、日本語学校と教師の質の向上を目的としている。
教育課程や施設など一定の基準を満たした学校について、文部科学相が「適正な教育機関」と認定する。情報はインターネット上で広く公表し、留学生の受け入れは認定取得が条件となる。
国家資格「登録日本語教員」も創設される。筆記試験に合格し、教育実習を修了することが条件だ。この資格がなければ、認定校で教えられない。
教師の処遇改善や社会的地位の向上を通じて、人材確保につなげる狙いがある。文科省への定期報告を義務づけ、問題がある学校には勧告や是正命令も行える。
新制度では、900以上の日本語学校や大学などが認定を求める見通しだ。悪質な学校を排除し、留学生が良質な教育を受けられるようにする一歩としたい。
認定校を卒業したことが就職や進学で評価されるようになれば、新制度は定着していくだろう。
日本語教師の年収は、6割が400万円未満だ。非常勤の給与はさらに少ない。地方では、ボランティアが中心となって教えているという。このため、大学などで日本語教師の養成課程を修了しても別の道に進む人が多い。
教師の給与を上げるため、国や自治体の補助金創設や、外国人が働く企業が支援する枠組みを作ることも検討してはどうか。